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東洋紡糸工業株式会社

カシミヤ

カシミヤ

カシミヤ繊維はアジア大陸の四季の寒暖の差が激しい内陸部の高地や山岳地方で飼育されている「カシミヤ山羊(Capra Hircus Laniger)」の産毛です。これらの地方では冬季の気温が氷点下約30度程度にまで下がり、山羊の身体には厳冬から身を護るため通常の粗い毛の下に非常に細いウブ毛が生えます。この産毛がカシミヤ繊維になります。

カシミヤの語源

カシミヤはその昔、インドの北境カシミールの首都スリナガールで同地に生息する山羊の毛を製品化して、シルクロードを通じてローマへ運ばれ、時の貴人に愛好されたところからカシミヤの名が起こったといわれています。

カシミヤの語源

ローマのシーザがカシミヤスカーフを重宝していたこと、最初の手織りスカーフがカシミールの首都スリナガールから運ばれたこと、さらに15世紀のムガール帝国のバブール皇帝の時代に、インドにはカシミヤ産業があり、約6万人が作業に従事していたことなどは、さまざまな記録から判明しています。しかしヨーロッパの商人が、ナポレオン1世の妻ジョゼフィーヌ皇后により、この高価な織物の存在に気づいたのはもっと遅く、19世紀になってからだといわれています。

カシミヤの産地と集荷

カシミヤはいつ、どこで、どのように採取するのでしょう?

カシミヤ山羊は、主に中国、外蒙古、イラン、インド、アフガニスタンなどの夏と冬の気温差が激しい山岳荒地に生息しています。冬の厳しい寒さから身を守るため、秋期には剛毛の下に産毛が生えてきますが、夏に向かう気温の上昇とともに、春期には産毛は抜け落ちます。私たちでいうところの衣替えを自然にしています。梳きとりの時期は一年に一度で、産毛が抜け落ち始める直前の5月頃、櫛を用いて、丁寧に梳きとっていきます。1頭あたりの産毛量は非常に少なく、ふつう雌で80~100グラムほどしか採ることができません。雄は雌より産毛量は多いのですが、毛質はやや劣ります。

カシミヤの産地と集荷

カシミヤの原毛について

カシミヤの原毛について

カシミヤ原毛の主な生産地は、中国、モンゴル、イラン、アフガニスタンの四カ国です。品質、管理の両面において最も優れているといえるのが、中国産です。そして日本でも最も多く、古くから使用されている原毛が中国産です。中国のカシミヤ原毛は、色別するとホワイト、ライトグレイ、ライトフォーン及びブラウンの4色に分類されて、各色の中で品質によって等級分けされていて、中でもホワイトの一級が最も高価なものです。カシミヤ原毛の中から刺毛と産毛を分ける工程を整毛工程と呼んでいますが、ここでの作業は最も人手を要し、技術的にも難しい作業といえます。また整毛された産毛は原毛の半分以下の量になりますので、もともと希少な産毛ですが、素材とできる産毛はもっと希少なものなのです。

では、衣類に置き換えてみると、一枚の衣類に何匹のカシミヤ山羊が必要になるのでしょう?
おおよその目安ですが、

紳士オーバーコート
24匹
婦人ワンピース
7匹
紳士セーター
3匹
婦人セーター
2匹

です。数多い繊維の中で、軽くて柔らかい、なめらかで温かい、上品な光沢を持つなど、繊維としての魅力も多いカシミヤは、その希少性もあって繊維の宝石ともいわれる所以なのでしょう。

カシミヤを取巻く獣毛の分類

カシミヤを含めた特殊獣毛と呼ばれている繊維には、モヘア、キャメル、アルパカ、ビキューナ、リャマなどがあります。動物学上では下記のようなグループ分けで分類されていて、それぞれの産地は獣毛によって異なり、中央アジアの高原地帯にはカシミヤ、キャメル。南米アンデスの高所地にはアルパカ、ビキューナ、リャマ。テキサス、南アフリカ、トルコの乾燥地帯にはモヘアなどになります。それぞれの獣毛が育つ環境によって、繊維の持つ特徴も変わってきます。モヘアは美しい光沢、ヌメリ感、吸湿性など。キャメルは保温性、弾力性に優れ、柔らかい手触りと軽さ。アルパカは滑らかな手触りと強さ、豊富な自然色。ビキューナは10〜14マイクロンという極めて細い繊維などです。また、カシミヤは美しい光沢感、艶やかさ、軽さ、保温/保湿性に優れ、特別な肌触りをもっていると言えます。

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